私の持っているオルゴールはそれ程大きくないシリンダーオルゴールばかりです、今のところ。
アンティークのシリンダーオルゴールも欲しいんですけどね・・・諸事情(主として金銭的な・・・^^;;)によりまして、あんまり大きい物や古い物は持っていない訳です、ハイ。
現代モノの50弁や72弁のオルゴールは、趣味として家庭で楽しむには十分以上と言えるくらいの演奏能力があると思っていますので、それはそれで満足ではあるのです。
博物館の展示などではもっと大型の機械の音しか聴けませんし、ショップでもガラスの棚の中にエラソーに飾られていたりして試聴をお願いしにくいですし、50〜72弁クラスの音というのは実際に所有していないと意外に聴く機会が無いかもしれないですね。
それはさておき・・・
一般に小さめの箱のオルゴールでは、搭載されているムーヴメントの実力を最大限発揮することは難しいのではないかと思います。
オルゴールの構造上、実際に聞こえる音のかなりの部分、中でも中低域の音は筐体や設置した場所・物が共鳴することによって聞こえているのです。
ところがムーブメントの大きさプラスアルファ程度のサイズの箱では、しっかりと共鳴して響くための面積が不足しがちになってしまうのですね。
中低域の音が不足気味だと、音の厚みが感じられなくなってしまいます。
この問題は良く共鳴が得られる設置場所があれば、そこに置いて演奏することによって大きく改善されます。
私の自宅でもなんとか良い音が出せる環境で演奏させてみたいと思いまして家の中をイロイロ試してみたのですが、残念ながら今時の安物の家具というのは合板などの素材で作られているものばかりで良い具合に共鳴してくれない…
なんとかならんかな〜と思っていた時に、あることを思い出しました。
以前某横浜にあるオルゴールのお店で、リュージュの72弁がスゴイ音で演奏されているのを見たことがあったんです。
そのオルゴールの下には、木製でちょっと高級感のある仕上げなのですが、ぽっかりと前面が開いているなんだか出来そこないの箱みたいなものがありました。
試しに店員さんにお願いして箱からオルゴールを持ち上げてもらいますと、ごく普通の音になってしまいます。
スゴイ音の正体はその箱、共鳴箱だったんですね。
その時は単に箱の共鳴に感心して、他のパンフレットのような本だけを買って帰りました。
そしてその後、しばらくは仕事やら何やらで気持ちがオルゴールから少し離れていて忘れていましたが、あれが家にあればいいな〜とも思い直しました。
現在は三協精機からソノリートという共鳴箱が市販されていますね。
私も欲しい気もするんですが、あの値段ではちょっと…
あれだけの値段払うのならば共鳴箱じゃなくてオルゴールそのものを買いますよ、普通の人は。。
で、どーするか。
作ります、自分で。
Do It Myselfでございます。
オルゴールは自分では作れないけれど、あの程度の箱くらいならなんとかなる…筈。。
典型的な貧乏暇ナシでも、どうにか時間も捻出しちゃいます。
まずは材料から検討します。
当然、木の板を用意して加工するのですが、木と言ってもイロイロ種類があります。
あまり堅い木だと加工が大変ですし、共鳴という意味でもやや不適切な気がします。
先日博物館に行った時には某館長からはスプルース材を薦めていただきました。
ギターやピアノなどの楽器にも材料として使われている木ですね。
更に単板であれば、より音響効果が良さそうな気がします。
天板の大きさは所有する最大のオルゴールの周囲+5pくらいの余裕ということで、40cm×30cm、板の厚さは1〜1.5cmくらいでいいかな。
そんな事を考えつつお店を数件あたってみました。
で、いきなり頓挫。。(笑)
40cm×30cmなんて大きさの板、なかなか無いんですね。
そりゃ、かなり太い木からしか採れないであろうことは想像に難くないですわ。。
あちこち回っても厚さが3cm以上もあるような板が一枚だけ見つかっただけ。
これは良さそうだったんですが板の値段もかなり高価で、しかも薄くカットしてもらう見積もりも考えると予算を大幅にオーバー…
「モノは試し」で「無いよりはマシ」なレベルを目指す私としては、「予算は少な目で効果はそれなり」の線でいきたいので却下です。。
代わりに使えそうな板というと…さすがにベニヤ板ではあまりにも響きが悪そうですし、化粧板では中身がなんだかわかりませんし表面は天然木ではなくなってしまいます。
妥協点は、どこにでも売っていて加工も楽で比較的種類も豊富な集成材あたりでしょうか。
これなら近所のホームセンターにもありますし、なんといっても安くて大きさも選べます。
スプルースはマツ科なので、それに近い性質であろうパイン(松)の集成材に確たる根拠もなく決定。
今回は全ての材料を同じ板から採ることを考えまして、90cm×35cm×1.5cmのパイン集成材の板を選んで使いました。
これをカットしてもらうのですが、↓こんな感じでお店にお願いします。
クリックで拡大画像表示。グレー部分は今回は使いません。

(実際には1カットあたり2〜3_のロスがでますので、この図の通りにはなりません。)
板材が1,280円+カット料金180円。
予算OK!(笑)
この程度の単純なカットなら、図面は用意しなくてもお店で対応してくれます。
狭いマンション住まいで作業場所も満足に無いので、簡単に仕上げられるようにネジ止めで作ります。
そのネジと表面仕上げ用のサンドペーパーとニス、木工用ボンドを合わせても3,000円程度で済みました。
工具は家にあるドライバーとキリだけでどうにかします。
しかし…家に帰って組み立てる前の板にオルゴールを置いて演奏させてみたのですが…あんまり響くものではないですね、ただの板だと。
なんだか少々心配になりましたが、ここまで来たら行けるとこまで行っちゃいます
ということで、材料が揃ったら組立てです。
切ってもらった板を組み合わせてみると…カットも指定キッチリとはいかないものですな。
板もある程度は反りがあったりして、どうしても誤差1_程度はあります。
本当ならばカンナやヤスリで合わせたいところですが、場所も道具も時間もないので今回は目をつぶってしまい、ネジ位置を決め、えいやっ!とばかりに組み立ててしまいます。
集成材ですと、どうしても場所によって木目も木の堅さも違うので少々失敗したりしつつもどうにか完成。
表面は適当にサンドペーパーをかけたあとで目立つ部分だけニス塗りしました。
出来上がりは↓こんな感じ。
クリックで画像拡大できますが、ファイルは大きめです。

で、実際にオルゴールを置いて演奏させてみますと…意外に良いですよ、コレ。
中低音域は確実に増幅されて聞こえますね。
集成材を使う事で音に雑味が入る事を心配していたのですが、どうやら大丈夫みたいです、今の所。
特に効果がわかりやすいのは、箱の素材が堅いオルゴールや底板が厚かったり小さかったりで低音域の共鳴が不足気味のオルゴールですね。
反面、元から共鳴の良い箱のオルゴールでも効果はありますが、全体としての音の印象はあまり変わらなかったです。
一番違ったのは…ムーブメントだけの手回しオルゴールの音だったりして。。
これはちょっと感動的な程の音が出ましたね。
なかなか満足いたしました。
そして全ての作業が終わり、試聴にもそれなりに満足した後・・・
私は…このうすらデカイ共鳴箱を家のどこに置くか、全く考えてもいなかったのでした…
またもや家が狭くなってしまいましたとさ。。
共鳴箱、3,000円程度のコストと一日のお休みがあれば出来てしまうのでオススメしちゃいます。
板の材質と工作技術によっては、私が作ったものよりも更に良い共鳴箱が出来ると思います。
材料のカットさえお店にお願いしてしまえば本当に誰にでも簡単に作ることが出来ますし、それでいていつもとちょっと違った音の表情を体験出来てしまいますよ。