オルゴールの起源についてはいくつかの説があるようですが、その技術的進歩の過程は時計技術と非常に密接な関係がありますね。
私の場合はたまたま以前から機械式の時計に興味を持っていましたので、そちらについても多少の知識を得ていたのですが、オルゴールについて調べるうちにブレゲ※やジャッケ・ドロー※※、ルクルト※※※などの時計の世界での著名人、今もブランドネームとして残っていたりするような人の名前がいくつも出てきて驚いたのは面白い経験でした。
ところで…
その後枝分かれしていくまでの間は、時計技術の一部として音を出す技術が開発されたものと思われます。
ということは、時計とオルゴールが別々の道を歩き出す前にあったと思われる時計…これはつまり音が出る時計ですね。
でも何故時計に音が出る仕組みが必要だったのでしょうか?
音が出る時計にも用途によりいくつかの種類があるのですが、
・アラーム
(「目覚まし時計」という言葉は置時計以外には合わない気がしますが、指定時刻を知らせる機能ですね)
・ミニッツリピーター、クオーターリピーター等
(こちらは時報機能といいますか、ボタンを押したときに音で時刻を知らせるような機能です)
この2つが代表的なものでしょうか。
アラームはともかく、ミニッツリピーター等って現代人にとっては必要性が無さそうに見えます。
柱時計や置時計などの大型の時計では今でも時報機能があるものも多いですが、オルゴールと直接技術的に関わるのは持ち歩く懐中時計に組み込んだものの筈です。
でも、時計の文字盤を見れば時間はわかるわけで…
実はこの必要性があったんです、19世紀当時は。
キーワードは「夜」。
歴史は夜つくられるなどと申しますが、確かに昼間よりも夜間に人生を左右するような大事な約束事があったりしますよね、今も。
夜にも時間を出来るだけ正確に知りたい需要があったというわけです。
19世紀の夜といいますと、絶対に現在のように明るい事はありませんね。
今でもちょっとした農村地帯にでも行けば、夜8時を過ぎたら街灯も無くて真っ暗なんてよくあることです。
おそらく、小さな時計の文字盤では見えにくかったでしょう。
ゼンマイで動く機械式の時計しか無かった当時、電球のような光源を組み込む事など出来た筈もありません。
そこで、「見えなければ音で知らせればいい」となったのでしょうね。
ちなみに現在でも機械式で音の出る腕時計は何種類かあります。
オルゴールに詳しい方は、リュージュ社からオルゴール付きの懐中時計が発売されているのはご存知の通り。
オルゴールに縁が無かった人にとってはレヴュートーメンの「クリケット」という時計が一番有名でしょうか。
アメリカの歴代大統領が愛用したという世界初のアラーム付き腕時計です。
ちなみにクリケットとはコオロギの事だそうで、虫の音のような独特な音色を醸しだす特殊二重構造ケースにより実現したものです。
ついでに…この時計はもともとはVULKAINというブランドで製作されたものですが、その後企業の合併などにより現在レヴュートーメンというブランドで残っています。
今では当時のレヴュートーメンが自社開発したかのように売り込んでいますが…まぁ、よくあることですね。
クリケットという名称の時計は残念ながら生産を終了してしまったようですが、同社のアラーム付きの腕時計は今も入手できます。
他にも音の出る時計はありますが、多くはかなり高価な高級腕時計になってしまいます。
また、オートマタ付きのものもありますね。
これはアントワーヌ プレジウソあたりが一番名前を知られているでしょうか。
ただ、ちょっと大人向けのオートマタもあったりしますが・・・数種類あります。
ご興味のある方は、調べればすぐに出てくると思います。
閑話休題。
その後、時代が進み技術革新が進むにつれ、街は明るくなり、懐中時計は小さく軽く、腕時計へと変貌していきます。
明るくなれば音で時を知る必要もなくなります。
夜光塗料を使えば、たとえ暗くても時計の針を見ることが出来てしまいます。
生産される数も増え、特権階級だけのものから庶民の日常に溶け込んでいきます。
より安価で正確なクォーツ時計の時代がやってきます。
そして…必要性が無いものは趣味のものになってしまいます。
多くの人は手に入れようとも思わない物ですから、好事家向けに少量生産されるだけになってしまったのでしょうね。
低価格ではコストが合わないですから価格は上がり、ますます一部の趣味人のモノになってしまいました。
……なにかの歴史と微妙に似てますね。。
複雑な機構をもつ機械式の時計とオルゴールは、別々の道を歩むようになってからも、同じような歴史をたどって今に至っているような気がします。
※ アブラアン・ルイ・ブレゲ(Abracham-Louis Breguet 1747-1823)
時計の世界ではNo.1の偉大な巨人です。
トゥールビヨンなど、機械式複雑時計の様々なメカニズムの多くはブレゲの発明です。
ナポレオンやチャーチル、マリー・アントワネットもブレゲの時計を使っていました。
櫛歯式のオルゴールを最初に発明したという説もありますが定かではありません。
現在もブレゲの名を冠した時計があります。
http://www.breguet.com/welcome.php
※※ ピエール・ジャッケ・ドロー(Pierre Jaquet-Droz 1721-1790)
時計よりもオートマタで有名かも知れませんが・・・
現在もリュージュ社でレプリカが作られているシンギングバードボックスの発明者です。
スウォッチグループ傘下ですが、現在もその名を冠した時計があります。
Webサイトにはオートマタの動画もありますよ。(←オススメ!)
http://www.jaquet-droz.com/
※※※ルクルト(LeCoultre 綴りは複数存在するようです・・・)
時計のマニュファクチュール、ジャガー・ルクルトの創業者…アントワーヌ・ルクルト
オルゴールのダンパーや鉛による調律の発明者…フランソワ・ルクルト
・・・らしいのですが、個人というよりも偉大な職人の一族ということでしょうか。
個々の直接の関係については、私も勉強不足でよくわかっておりません。。申し訳ありません。
http://www.jaeger-lecoultre.com/JLC/index.htm