以下に、私が本で読んだり博物館やショップで聞きかじったりしたことを勝手に解釈して書いてみました。
な〜んとなく、オルゴールの歴史の流れを理解していただける程度の内容を目指したものです。
ホントに内容には全く自信が無いんで、是非間違い等指摘いただけると嬉しいです。
二つ返事で即日修正いたします!
その起源は14世紀、フランスで作られたカリヨンということになっているようです。
当時、お祈りの時間を知らせるために、時計塔などの時計は鐘をならしていました。
その機構はシリンダーオルゴールに近く、円筒形のシリンダーにピンを配し、その配列によりハンマーを操作させて鐘を鳴らすというものです。
「回転体に音楽信号を記録して再生する」というオルゴールの原型は、既にこの時代に作られていたのですね。
原型が出来てしまえば、時計と一緒に小型化が進みます。
時計塔大きな鐘の変わりに自転車のベルのような鐘を大きさを変えていくつも重ねて、省スペースで音階をつけられるようになりました。
これで室内用の時計にもカリヨンの機能を持たせることができます。
さらに小型化は進みます。
16世紀になり、動力としてゼンマイを使う事により、時計は誰もがポケットに入れて持ち運べる懐中時計になりました。
今度は懐中時計にも時報機能を入れたくなります。
これも最初はベルを入れてみます。
しかし、シリンダーがハンマーを動かしてベルを叩く仕組みは、小さな懐中時計に入れてしまうと非常に複雑になってしまいます・・・
1796年、スイスはジュネーブの時計職人、アントワーヌ ファーブルにより「ベルもハンマーも使わないカリヨン」が発明されました。
複雑なハンマー機構を廃し、直接シリンダーが櫛歯を弾くスタイルが考え出されたのです。
ついにシリンダーオルゴールの直系のご先祖の登場です。
櫛歯も一音階ごとに独立したもので、まだ「櫛」と呼ぶのはおかしいですけど・・・
とにかく、このサイトでのオルゴールの定義、「自動または手動で主として櫛歯を弾くことにより音楽を奏でる機械」の条件を満たす最初のオルゴールが生まれたのです。
でも、まだこの段階では時計技術の傍系としての技術なんですね。
その後19世紀に入り、オルゴールは時計から離れて独自の発達に向かいます。
宝飾品やスナフ・ボックス(嗅ぎ煙草入れ)などに盛んに組み込まれ、上流階級の娯楽品として、またスイスのお土産品として人気を得ました。
やがてその流行は去りますが、人々の音楽に対する関心度は上がっていきます。
そんな時代背景の中、オルゴールは付属品的な役割から脱却し、自動演奏装置として独り立ちしていきます。
単独の演奏装置として、その音楽性を高めるための改良が求められました。
ミュージック・ボックスという名称も、この頃に出てきたようです。
そして、この時代から19世紀後半までの短期間の内に、シリンダーオルゴールの技術はほとんど完成してしまいます。
大型化し、櫛歯の形状も現在と変わらないものとなり、回転速度の制御技術も確立され、演奏時間の延長方法も出てきます。
職人による手工業だけでなく、工場での生産が始まります。
しかし、工場での大量生産により質は低下してしまいます。 技術的にも構造上の限界が見えてくるこの頃、シリンダーオルゴールの時代にハッキリと終止符が打たれます。
1885年、ついにディスクオルゴールが誕生したのです。
ドイツのパウル ロッホマンにより発明されましたディスクオルゴールは、シリンダーオルゴールでは実現出来なかった画期的な改良点、特徴がありました。
最大の違いは、音楽信号を本体から独立させて、ソフトウェアとして分離してしまった事でしょう。
シリンダーオルゴールでは音楽信号はシリンダーにピンを一本ずつ埋め込むことにより記録、再生していましたので、そのコストは高く、また収録できる曲数も無制限に増やす事は出来ませんでした。
対応策として、シリンダーの大径化や交換式などの試みはなされましたが、基本的なコストは変わらない以上、自ずと限界があります。
しかし、ディスクオルゴールでは、ディスク交換により収録曲数はいくらでも増やす事が出来ます。
しかも、ディスクの音楽信号は薄い鉄板にプレスで刻み込む事が出来ますからコストも安く、原盤さえ作成すれば工場での大量生産が可能です。
更にディスクオルゴールではシリンダーオルゴールでは出せなかった大音量の演奏を可能にしました。
シリンダーのピンは小さく、シリンダー内松脂で固定するという構造ですから、それほど強度がありません。
櫛歯を強く弾くことが出来なかったので、大音量の実現は無理でした。
ディスクオルゴールではディスクの音楽信号が刻まれた突起でスターホイールという部品を回転させ、スターホイールで櫛歯を弾く仕組みになっています。
これはシリンダーのピンよりも遥かに強い構造ですから、より強く櫛歯を弾き、ホールなどの広い場所にも対応出来る大音響の演奏を可能にしたのです。
こうした圧倒的な優位性を武器に、ディスクオルゴールは短期間にシリンダーオルゴールに取って代わる存在となりました。
もともと職人芸に頼る部分の少ない高い生産性を生かして量産され、量産効果により価格も下がります。
19世紀末から20世紀にかけて、酒場やレストランなどに盛んに導入されていきます。
一般の家庭でも、小型のディスクオルゴールを購入する事が可能になります。
ようやく庶民の目に入る場所まで下りて来たのです。
音楽も特権階級だけに楽しまれていた時代ですから、一般大衆への音楽の普及にも貢献したのでしょうね。
しかし、ディスクオルゴールの黄金期も短期間で終わってしまいます。
ご存知、蓄音機の発明ですね。
実際にはエジソンが蓄音機を発明したのは1877年で、ディスクオルゴールの発明よりも前の事です。
しかし、商品として世に広く普及する事になるのはエジソンの円筒式蓄音機ではなく、円盤を使うベルリーナ式の再生専用の蓄音機でした。
ここでは目の前で生の音を奏でる機械であるオルゴールと、録音した音を再生する機械である蓄音機という決定的な機能の差があります。
人の声から楽器の音まで何でも再生できる蓄音機が時代に受け入れられたのでしょう。
そしてオルゴールはまだ火が消えたわけではありませんが、その生産台数のほとんどが玩具などへの組み込み需要に逆戻りしてしまいます。
高級な自動演奏装置としてのオルゴールは実用品ではなくなり、一部の愛好家の趣味の品となり生産量は減少してしまいます。
小型の安価なシリンダーオルゴールの大量生産はその後も続き、現在に至ります。